冗長化の奥深さ

冗長化の奥深さ

ITに関わる仕事と聞くと、システムエンジニアやプログラマという印象を強く持っている人は多いかもしれません。しかし、あらゆるシステムが正常に作動するためには、ITインフラと呼ばれるサーバやネットワークがしっかりと整備されていなければなりません。インフラエンジニアという仕事は、他のIT系職業と比較して認知度も低く、決して目立つ仕事ではありません。しかし、この仕事をするにはかなりの専門性と技術を要するので、確固たるIT技術を自分のものにしていきたい人にとっては魅力とやりがいのある仕事でもあるのです。

ITの世界のインフラとは

「インフラ」という言葉は、水道や電気などのライフラインを表わす時に比較的頻繁に耳にする用語ですが、ITの世界ではコンピュータシステムの基盤となる設備機器やネットワーク回線などをインフラと呼びます。例えば、企業が膨大な顧客情報を管理するためのシステムや、ホームページを構築したいという要望があれば、収めたい情報量や業務内容に合った新たなインフラ整備が必要になります。生活の基盤となるライフラインと同様に、ITインフラもきちんと整備されていないとシステムが正常に機能しません。
もしインフラに問題が発生すれば、そのシステムに関わる全ての業務が停止してしまう場合もあるので、医療や交通、金融などその他コンピュータで管理されているあらゆる物がインフラに支えられているという事を考えると、ITインフラはもはや重要なライフラインのひとつといってもいいでしょう。

求められる能力

そのITインフラを整備する仕事をするのがインフラエンジニアです。インフラエンジニアは、情報を蓄える役割をするサーバを設計・構築し、ネットワーク回線とつなぎ合わせます。数多くあるサーバやネットワーク回線から、最も顧客の要望に合ったものを選んで実際に機器を設置する事になるため、ITインフラに関わる幅広い知識や情報を把握していなくてはならず、高い専門性が求められています。コンピュータは機械なので様々なトラブルが生じる事も珍しくありません。インフラエンジニアの仕事は、機器の設計や構築をするだけではなく、その後の運用や管理など何かあった時にも迅速かつ的確に対応するだけの能力が求められる重要な仕事なのです。

リスク管理に不可欠な冗長化

ITインフラがシステムの運用にあたって重要な役割をしている以上、サイバー攻撃や自然災害などあらゆるリスクについての対策を考えておくという事が必要になります。サーバに負荷がかかり過ぎる事態やシステムの停止などによって多大な影響を及ぼしかねない場合、サーバやネットワークの冗長化という方法でより安全性を高める事ができます。
冗長化とは、インフラに何らかの障害が発生した際に予備の設備を用意しておくという事です。1台のサーバに問題があっても、もう1台あれば代わりに稼働する事でシステムの停止を防げますし、ネットワークに障害があっても他の経路から回線を確保できるよう準備しておくなど、冗長化は柔軟な発想力やリスクに対する想像力など様々な能力が必要になる奥の深い作業です。ITに関する知識や技術だけでなく、多様な能力が試されるインフラエンジニアの仕事は決して簡単なものではありませんが、その分IT業界でも貴重な人材となって仕事にもやりがいを感じる事ができるでしょう。